学会概要

理事長挨拶



 このたび,第9期理事長に選出されました野井真吾です.
 改めて歴代理事長のお名前を確認すると,私自身が「教育保健」ということで多くのことを学んだ先達ばかりです.身の引き締まる想いです.力不足も感じます.ただ,以下に記すように,いまこそ「教育保健」に関する議論が大切であると思います.求められているとも思います.そのため,甚だ微力ではありますが,教育保健学のさらなる発展に尽くしたいと思います.どうぞよろしくお願いします.

 日本は,国連子どもの権利委員会から過度に競争的な教育制度や社会構造の是正が勧告されている状況にあります.子どものいじめ,不登校,暴力,自殺が長年に亘って大きな社会問題になっている状況にもあります.紛れもなく,子どもの「いのちと健康」「からだと心」の危機です.このうち,いじめはプレッシャーの“転嫁”,不登校はプレッシャーからの“忌避”,暴力はプレッシャーへの“対抗”,自殺はプレッシャーを感じる自己の“破壊”の表れであるとの指摘もあります.こう考えると,これらの問題事象は「教育」と無関係とはいえません.ここに,「教育」のあり方が問われる理由の一つがあります.
 また,わが国では狩猟社会,農耕社会,工業社会,情報社会に続く新たな社会として,Society 5.0(超スマート社会)の構想が標榜されています.このような社会変革が子どもの学びを変貌させることは想像に難くありません.事実,GIGAスクール,教育DX,生成AI等々といったコトバを日常的に耳にするようになりました.「教育」が転換期を迎えていることの証です.また,この種の議論は新型コロナウイルス感染症の世界的蔓延により一層加速化しました.ただ,デジタルを活用したこのような教育が子どもの「いのちと健康」「からだと心」に及ぼす負の影響も心配されています.ここにも,「教育」のあり方が問われる理由の一つを確認することができます.
 さらに,ここ数年はロシアによるウクライナ侵攻,イスラエルによるガザ侵攻,アメリカによるベネズエラ攻撃,アメリカ・イスラエルによるイラン攻撃等々,世界各国で戦争・紛争が多発しています.民主主義の根幹を支える“法の支配”がないがしろにされ,“力の支配”が横行している危険を感じます.「いのちと健康」「からだと心」の危機を感じます.このような状況を目の当たりにすると,戦前・戦中の軍国主義教育への痛切な反省に基づいて制定された「教育基本法」を思い出さざるを得ません.その制定当時(1947年)の前文には,「われらは,さきに,日本国憲法を確定し,民主的で文化的な国家を建設して,世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した.この理想の実現は,根本において教育の力にまつべきものである」とあります.平和の礎は「教育」にあるとの宣言です.いまこそ,その重要性が問われています.この点でも,「教育」のあり方が問われるべきです.

 日本教育保健学会は,1994年に発足した日本教育保健研究会の10年間にわたる活動を発展的に継承して,2003年に設立されています.その目的は,「学問の自由を尊重し,教育保健に関する学術研究及び実践の発展に資すること」にあります.
 上記のように,「教育」のあり方が問われている時世です.「いのちと健康」「からだと心」が危機に直面している時世です.このような時だからこそ,「教育」や「いのちと健康」「からだと心」に関する議論が求められています.その点,「教育」と「保健」を冠する日本教育保健学会がその議論に参加し,実践的に追究することの意義は小さくありません.そして,そのような行動は社会的要請であるとも考えます.
ただ,その議論が一部の専門家によるものに限定されてしまうと,その成果も限定的なものになってしまいます.ブレイクスルーを生み出すような大胆な議論が求められていると思います.それには,多面的・多角的,包括的・包摂的,総合的・複合的な議論が必要です.子どもの「教育」と「保健」を取り巻く一層幅広い分野の方々の参加が重要です.そのため,植田誠治前理事長が呼びかけていた「多様な分野の方々の協力」といったことをこれまで以上に大きな声で呼びかけたいと思います.
 教育保健学の研究は,現実的な課題解決といった側面とともに,子どもたちの将来,子どもたち自身が創り出す新たな社会にも繋がる未来志向の側面も持っています.子どもたちのいまはもちろん,未来のためにも,「教育保健」に関心をお持ちの方々の一人でも多くの参加を心よりお待ちしております.

日本教育保健学会 理事長 野井 真吾
(日本体育大学体育学部)

学会の成り立ち

本学会は1994年に発足した日本教育保健研究会の活動を発展的継承し、2003年に「学問の自由を尊重し、教育保健に関する学術研究及び実践の発展に資すること」を目的として創立されました。
教育保健学の研究アプローチの一つは、保健学の視点から教育活動を捉え返すことであり、もう一つは教育学の視点から子どもたちの保健現実や学校保健活動を捉え返すことです。
教育保健学の研究は、現実的な課題解決といった側面とともに、子どもたちの将来、そして子どもたち自身が創り出す新たな社会にも繋がる未来志向の側面も持っています。
本学会の実践・研究活動に共同していただける皆様方のご参画を切に期待しています。

学会のあゆみ

研究会・学会

日本教育保健研究会

回数開催日・開催地等
第1回1994年3月26~27日
東京-筑波大学附属駒場中学校・高等学校-
第2回1995年3月25~26日
東京-筑波大学附属駒場中学校・高等学校-
第3回1996年3月27~28日
愛媛-愛媛大学-
第4回1997年3月27~28日
横浜-横浜国立大学-
第5回1998年3月28~29日
山口-山口大学-
第6回1999年3月29~30日
栃木-宇都宮大学-
第7回2000年3月25~26日
京都-立命館大学-
第8回2001年3月24~25日
仙台-宮城学院女子大学-
第9回2002年3月30~31日
名古屋-愛知学院大学-
第10回2003年3月29~30日
東京-一橋大学-

日本教育保健学会

回数開催日・開催地等
第1回2004年3月19~20日
岡山-岡山大学-
第2回2005年3月19~20日
茨城-茨城大学水戸キャンパス-
第3回2006年3月25~26日
徳島-徳島大学工学部共通講義棟
第4回2007年5月
石川-金沢大学角間キャンパス-
第5回2008年3月
青森県-弘前大学-
第6回2009年3月28日・29日
東京都-帝京平成大学池袋キャンパス-
第7回2010年3月27日・28日
滋賀県-びわこ成蹊スポーツ大学-
第8回2011年3月27日・28日
福島県-福島大学-
震災のため紙上発表のみ。一部シンポジウムを7月末日にフォーラムを開催して仙台で実施
第9回2012年3月24日・25日
宮城県-東北福祉大学-
第10回2013年3月30日・31日
神奈川県-國學院大學-
第11回2014年3月22日・23日
山口県-山口大学-
第12回2015年3月21日・22日
愛知県-日本福祉大学-
第13回2016年3月5日・6日
茨城県-茨城大学-
第14回2017年3月25日・26日
宮城県-東北福祉大学-
第15回2018年3月3日・4日
東京都-日本体育大学-
第16回2019年3月9日・10日
福岡県-九州女子短期大学-
第17回2020年3月
岐阜県-じゅうろくプラザ-
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のため紙上発表のみ。
第18回2021年3月6日・7日
東京都
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のためオンライン開催。
第19回2022年3月5日・6日
新潟県
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のためオンライン開催。
第20回2023年3月4日・5日
宮城県-東北福祉大学-
第21回2024年3月2日・3日
神奈川県-神奈川工科大学-
第22回2025年3月1日・2日
兵庫県ー兵庫大学ー
第23回2026年3月20日・21日
東京都ー東洋大学ー

歴代理事長

名前任期肩書・所属等

森 昭三
1994-2003年元びわこ成蹊スポーツ大学学長
筑波大学名誉教授

和唐 正勝
2003-2011年新潟医療福祉大学教授
宇都宮大学名誉教授

数見 隆生
2011-2017年東北福祉大学教授
宮城教育大学名誉教授

近藤 真庸
2017-2020年岐阜大学名誉教授

植田 誠治
2020-2026年聖心女子大学教授

概要

事務局〒158-0081 東京都世田谷区深沢7-1-1 
田中 良
(日本体育大学)
e-mailoffice@educational-health.jp
設立平成15年4月1日(前身である日本教育保健研究会から継続すると30年経過しました)
代表理事長 野井 真吾
(日本体育大学体育学部)
会員数235名(令和2年7月1日現在)
会費年間 6000円
学会機関誌日本教育保健学会誌
ニューズレター年間3~4回発行
学会HP年4回更新予定
年次大会毎年1回 次回は2025年3月開催予定
日本学術会議協力学術研究団体2023年6月29日に日本教育保健学会が指定されました

教育保健とは

本学会に興味をもたれた方や、学会員で「教育保健」についてもっと知りたいという先生方のために。